Month9月 2018

まっすぐに走る!イタリア国内を走る高速鉄道・ディレッティシマ

ヨーロッパでは高速鉄道の路線が広範囲で展開されており、フランスやドイツなど国をまたいで列車が運行されています。

イタリアでも高速鉄道が展開されており、建設や管理はTAVという会社が行っており、イタリア国内で高速鉄道を運営することが主な事業で、在来線との接続線の建設や改良も行っています。

TAVが運営する路線の中で、ヨーロッパ発の高速新線として知られるディレッティシマが有名で、この路線をはじめイタリア国内で高速鉄道が運行されています。

ディレッティシマはTAVの最初の路線で、イタリア語で「(鉄道の)直通・直行」を意味し、TAVの主要路線として現在でも多くの人に利用されています。

ディレッティシマは「フィレンツェ・ローマ高速線」という正式名称があり、これまで両駅間を結んでいた複数の路線を統合するかたちで、高速新線として初めて建設計画が立てられました。

1970年に重要区間での着工が行われ、バリア川に架かる5,375mのバリア橋梁はヨーロッパでは一番長い陸橋で、世界でも有数の長さとなっています。

1977年に最初の区間となるローマ・テルミニ~チッタ・デッラ・ピエーヴェ間が開業し、その後は政治的な事情で工事が進まなくなりました。

その後は1985年にチッタ・デッラ・ピエーヴェ~アレッツォ間、1986年にフィレンツェ~バルダル間、1992年にアレッツォ~バルダル間が開業し、全線開通しました。

路線は「ディレッティシマ(直行)」というように、ほとんどの区間が直線的に建設されており、最急勾配が8%とゆるいもので、対向列車との衝撃なども抑えられています。

ディレッティシマなどイタリア国内の高速鉄道で走行している列車として、ペンドリーノというものがあり、車体傾斜式電車の名称でイタリア語で「振り子」という意味があります。

ディレッティシマの一部区間での開業に合わせて運行され、1983年には時速250㎞での運転を実現し、現在ではヨーロッパ各国で導入され在来線の高速化に貢献しています。

ペンドリーノの開発はイタリアの自動車メーカー・フィアット社の鉄道車両部門で、山岳地帯のある国ということもあって車体傾斜式車両の開発に力を入れていました。

ディレッティシマ以外に有名な路線としては、まずローマ・ナポリ高速線があり、1994年に建設が開始し、2005年に開業、計画区間には埋蔵遺跡が存在します。

TAVでは、ヨーロッパ各国の高速新線のネットワークと接続し、フランスのTGVやドイツのICEなどと統合した高速新線のネットワークの構築を目指しています。

隣国との路線も計画されており、TAVとTGVを接続させる路線も計画され、フランスのリヨンからトリノまでを結んでおり、途中に52㎞のトンネルも計画されています。

ミラノからスイス国境までをつなぐ路線、トリエステからスロベニア国境をつなぐ路線も計画されており、いずれもその先の国までの連絡を目的に計画されています。

日本の技術を導入!台湾の南北を結ぶ台湾高速鉄道

日本は新幹線の技術を世界各国に売り込んでおり、フランスのTGVやドイツのICEの技術と競合しており、技術力の高さをアピールしています。

海外ではフランスやドイツの技術が多く導入されていますが、日本の技術を導入しているところもあり、今回の台湾高速鉄道がそれにあたります。

台湾高速鉄道は、台湾の台北と高雄を結ぶ高速鉄道で、路線距離は348.5㎞、現在は南港駅から左営駅までが開業しています。

最高速度は時速300㎞、ノンストップ便で所要時間は約1時間30分、日本としては新幹線の技術を輸出、現地で導入した初めての事例となっています。

2007年に板橋~左営間で開業し、車両などの鉄道の技術はJR東海とJR西日本の共同による新幹線の技術を導入し、そのことから日本や台湾では「台湾新幹線」と呼ばれることがあります。

当初はヨーロッパのシステムによる計画で進められたこともあり、分岐器はドイツ製、列車無線はフランス製のものが使用され、実際のところは日欧混合システムとなっています。

台湾高速鉄道は、フランス・ドイツ連合と組む台湾高鉄と日本と組む中華高鉄が競合し、仏独連合が低コストの提示をしたことや当時のアメリカが対中政策を進めたことで当国の戦闘機などが購入できなかったことなどで、台湾高鉄と契約しました。

しかし、アメリカが戦闘機の売却に同意したことやICEで死者約100人の脱線事故を起こしたこと、1999年に台湾大地震が発生したことなどで、安全性の高い日本の技術が注目されるようになりました。

台湾政府は、台湾高鉄の協力先を早期地震検知警報装置(ユレダス)を導入していた日本連合に切り替えることを発表し、新幹線の技術が導入されることになりました。

台湾高速鉄道で使用される車両は、700T型と呼ばれるもので、JR東海・JR西日本共同開発の700系の改良型で、12両編成のものが導入されました。

路線は南港駅から始まり、台北駅や板橋駅を通り、間に台中駅や台南駅を通り、左営駅まで移動できるようになっています。

路線の計画としては高雄駅までとなっていますが、左営駅から高雄駅までの間は開業時期が未定となっています。

運行形態は、列車に愛称はなく数字のみで表され、終着駅まで各駅に停車するものを「各站停車」、途中通過する駅があるものを「直達」と称して区別しています。

2008年に曜日別ダイヤが導入され、2009年には「双色割引」が導入され、営業時は経済状況によって減便する時期があるなど、運営に関しては様々な経験をしています。

運賃は乗車する座席等級や距離によって異なり、乗客人数や身柄によっても異なり、普通車普通運賃を基準に金額が決められています。

高速鉄道が開業してからは、国内の主要交通網と競合することがあり、国内の航空路線では減便をする航空会社が出てきて、最も高速鉄道の影響を受けています。

高速バスも競合によって様々な割引策を講じるようになり、24時間運航を行う事業者も現れ、運賃の価格破壊が進むようになり、航空会社と同様に影響をかなり受けています。

TGVの技術を導入!主要都市を結ぶ韓国高速鉄道

高速鉄道の技術は、日本・フランス・ドイツがその技術力が高く、各国内で展開するだけでなく世界各国に売り込みを行っています。

海外の高速鉄道において、日本に近い場所での高速鉄道として韓国高速鉄道(KTX)があり、韓国国内で路線が展開されています。

車両などのシステムはフランスのTGVの技術を導入しており、営業運転での最高速度は時速305㎞となっています。

1990年に事業計画とその路線が確定し、1992年から工事が進められ、約2兆円といわれる事業費をかけて2004年に暫定開業しました。

当初はソウル~釜山間の京釜線の高速化を目的に「京釜高速鉄道」として進められてきましたが、湖南高速線も計画に入れられたことで、KTXの名称になり、韓国鉄道公社が運営しています。

KTXの営業路線は、京釜高速鉄道と湖南高速鉄道の2つに区分され、路線としては5つの系統が運行されています。

京釜高速鉄道はまず京釜線系統があり、ソウル~釜山間を走る系統で、高速線のみが走る系統と水原経由・亀浦経由の在来線直通系統に分けられます。

慶全線系統は2010年から運行されており、ソウル~馬山間を運行し、数本で晋州まで直通する系統で、京釜高速線や在来線を経由・直通するルートとなっています。

東海線系統は2015年から運行されており、ソウル~浦項間を運行する系統で、京釜高速線や在来線を経由して走行しています。

湖南高速鉄道にはまず湖南線系統があり、龍山~木浦間を走行する系統で、高速線を走る系統と西大田経由の在来線と直通運転する系統に分けられます。

全羅線系統は2011年から運行されており、龍山~麗水エキスポ間を走行する系統で、龍山~益山間で高速線を経由する系統と西大田経由の在来線を直通運転する系統に分けられます。

2004年の暫定開業時は、京釜高速鉄道はソウル・龍山~釜山間、湖南高速鉄道はソウル・龍山~光州・木浦間で開業しています。

現在の系統では、ソウル・龍山から京義線など入出庫線を利用して運行する幸信乗り入れ、仁川国際空港鉄道直通の仁川空港乗り入れが1日数本限定で運行されています。

KTXの営業車両は、自動車内放送では韓国語・英語・中国語・日本語の順に放送され、始終着駅や主要駅では乗り換え案内も放送されています。

開業当初からKTX-Iが運行されており、列車は20両編成で動力集中方式を採用し、TGV車両よりも車両構体を強化しています。

2010年からはKTX-山川が運行を開始し、従来のKTXで得られた技術的なデータや利用客からの声を反映させ、シートピッチを拡大した回転式リクライニングシートの導入など、乗客の不満を解消しています。

2015年からはKTX_山川が導入され、湖南高速線や首都圏高速線が開通したことに合わせて、KTX-山川をベースに騒音の低減や座席数の増加などの改良を行いました。

所要時間に関しては、ソウル~釜山間の京釜高速線においては、両駅間を2時間15分で移動できるようになっています。

ヨーロッパで展開される!ドイツを中心に走る新幹線・ICE

高速鉄道は世界各国で運行・計画されており、日本でいうところの新幹線、フランスでいうところのTGVがその代表例です。

ドイツでも高速鉄道が運行されており、ドイツ鉄道の旅客列車の中では上位クラスのインターシティよりも上の高速鉄道として、ICEが運行されています。

ICEはドイツ国内で運行されていますが、ドイツを中心にヨーロッパ各国でも走行されているため、ヨーロッパ屈指の技術を誇ります。

1991年には、ハノーファーからヴュルツブルクの間、マンハイムからシュトゥットガルトの間でNBS(高速新線)が本格開通されました。

そのときと同じく、ICEはハンブルク~ハノーファー~フランクフルト~シュトゥットガルト~ミュンヘンのICE6号線で運行が開始されました。

最高速度は時速250㎞で、全線通しの列車が1時間間隔で12往復設定され、13両編成で運行されました。

ICEは開業してから好評を得て、徐々に路線を拡大させていき、1992年にはスイスのバーゼルやチューリッヒに乗り入れ、1993年にはドイツの首都・ベルリンまで延伸、1998年にはオーストリアのウィーンまで延伸させました。

2000年にはオランダのアムステルダムまでの運行を開始し、2007年にはフランスLGV東ヨーロッパ線の開通により、既存のユーロシティを置き換えるかたちで乗り入れを行いました。

ICEの車両はバリエーションが多く、座席の間隔は広くとられており、オーディオ設備の搭載や食堂車の連結によって、居住性の高さを実現しています。

1991年の運行開始時にはICE1が導入され、ドイツ国内の主要都市を結ぶ路線で運行され、スイスやオーストリアへの乗り入れも行われました。

ICEの路線網を需要の少ない線区にも拡大するためにICE2が導入され、短編成と分割併合運転に対応しています。

ICE3は、ケルン~フランクフルト間の高速新線の急勾配に対応するため動力分散方式でつくられたもので、2000年のハノーファー万博に合わせて運行を開始しました。

ICE3は高速化に重点が置かれましたが、ICE4は最高速度をやや控えめにして、経済性に重点が置かれて開発されています。

ICEのダイヤはそれまでのインターシティの基本方針から、2時間間隔での運転、主要駅での同一ホーム接続などを受け継ぎ、さらなるスピードアップを実現させました。

通常のICEより所要時間を短縮させたものにICEスプリンターがあり、ドイツの大都市間を移動するビジネスユーザーをターゲットに、停車駅を最小限にしています。

国際列車も展開されており、スイス・オーストリア・フランス・オランダ・ベルギーの主要都市まで直通運転ができるようになり、ICEとして運行されています。

ドイツ国外への輸出を積極的に進めており、韓国や台湾ではフランスや日本と競合したことがあり、スペインや中国、ロシアでは実際にICEの技術をもとにした高速鉄道がつくられました。

世界でトップクラス!技術力の高いフランスの新幹線・TGV

新幹線は日本が誇る高速鉄道ですが、海外でも高速鉄道が開発され、広い範囲で運行されており、海外にもその技術を展開しています。

フランスでは高速鉄道の技術力が高く、海外の高速鉄道建設でも売り込みに力を入れており、日本に匹敵する高速鉄道大国です。

日本の新幹線にあたる高速鉄道の車両としてTGVがつくられ、フランス国鉄が国内で運営され、名称はフランス語で「高速鉄道」という意味があります。

TGVが最初に考えられたのは1960年代で、このころは日本で東海道新幹線の工事が行われた時でした。

当時は空気浮上式鉄道や磁気浮上式鉄道の研究が行われていましたが、実用性や費用の面で問題があったため、鉄道の高速化を鉄車輪と鉄軌道で実現するようにしました。

最初の計画では、ガスタービンエンジンによる電気式ガスタービン動力車が考案され、高いパフォーマンスを誇ることから、1972年に最初のTGVの車両がその方式でつくられました。

高速域からの列車を停止させるためのブレーキなどの新技術を導入し、1972年には非電化鉄道としては最速の時速318㎞を記録し、当時の日本の新幹線の最高速度を上回りました。

しかし、1973年のオイルショックにより燃料の価格が高騰したため、ガスタービンによる走行は実現性を失い、架線から電力を得る架空電車線方式で運行されることになりました。

この方式で開発が進められ1974年に車両が完成し、1976年の政府のプロジェクトによって最初のTGVの路線である、パリ~リヨン間のLGV南東線の建設が進められました。

1980年に最初の量産型営業車両が完成し、翌年にLGV南東線が開業し、パリとリヨンを飛行機よりも短い時間で移動できる交通手段として利用されました。

その後はフランス国内で新たに路線がつくられるようになり、1993年には営業最高速度が時速300㎞まで引き上げられました。

1994年からは隣国との路線がつくられるようになり、英仏海峡トンネルが開通したことにより、パリ~ロンドン間でユーロスターの運転が開始されました。

1997年にはベルギー国内で高速鉄道・HSL1が開業し、ブリュッセルからパリの間で高速運転ができるようになりました。

TGVはドイツまで乗り入れるようになり、2013年には廉価版TGV「Ouigo(ウィーゴ)」の運行が開始され、TGVは年々新しさを増しています。

TGVに関しては、高速運転が可能な専用軌道はLGVとよばれ、軌間は1,435㎜の標準軌を採用していることから、TGVは他国に直通運転ができるようになっています。

TGVは、パリなどの列車の始点・終点になる駅は在来線を乗り入れるため、既存の在来線の駅がそのままTGVの発着駅として利用されています。

フランス国内では約1,800mの路線網があり、パリを中心に放射状になっている4本の路線とその他の路線で構成されています。

TGVは隣国への路線展開だけでなく、アメリカや韓国などへの技術の輸出を進めており、特にモロッコではTGVの技術をもとにアフリカ初の高速鉄道の計画が進められています。

営業上で競合している!新幹線が競合する航空便と他の鉄道

新幹線は日本の交通網において重要な役割を持ち、高速で移動できることから多くの人から利用されています。

新幹線と営業上で競合しているものとしては、大きなもので飛行機が挙げられ、長距離の移動においてどちらの手段を選ぶかで新幹線と一緒に選択肢にあがります。

長距離移動では新幹線と飛行機は長らく競合していましたが、航空会社の規制緩和によって各種割引料金の導入や宿泊費込みの旅行プランの登場などもあり、さらに競争が激化しています。

航空会社によるマイレージサービスの存在も大きく、このサービスがあることで飛行機がお得に利用しやすくなり、様々なサービスが受けられることで多くの人に支持されています。

それに対抗するために、新幹線を運営するJR各社は競合区間を中心に割引率の大きい乗車券の販売や、会員制インターネット予約による割引特急券の販売などで利用者を増やしています。

新幹線の駅と空港が近いと競合が激しくなり、例えば博多駅と福岡空港は距離が近いため、新幹線と航空会社の競合が現在でも活発になっています。

新幹線は他の鉄道会社と競合することがあり、東海道新幹線の開業から私鉄特急が競合することがあり、近畿日本鉄道(近鉄)・小田急電鉄・名古屋鉄道(名鉄)がその代表例です。

私鉄特急が新幹線と競合する場合、到達時間では新幹線が上なので、運賃の安さや駅の立地、車両の居住性などで対抗しました。

例えば近鉄の場合は名古屋から大阪の間で競合が見られ、競合が進むにつれて近鉄が新型車両を導入するようになり、運賃と快適性で対抗するようになっています。

近鉄の場合は、伊勢志摩や奈良といった新幹線と競合しないエリアに関しては、新幹線で大阪・京都・名古屋についたら、そこから近鉄特急で行けるように戦略をとっています。

小田急の特急の場合は、東京~小田原間で競合することがあり、特急「はこね」などとの競合が見られ、箱根方面へ向かうときにその傾向があります。

名鉄の特急の場合は、名古屋~豊橋間で競合することがあり、豊橋駅の場合は停車する本数が少ないため、名鉄ではこの区間の利用を促進するための切符を販売しています。

国鉄民営化後には、在来線と新幹線が別会社によって運営されるケースが発生し、並行する一部の区間ではJR同士の競合が見られるようになりました。

山陽新幹線の小倉~博多間がその一例で、新幹線はJR西日本が運営し「こだま」をその区間で増発し、在来線のJR九州は特急を運行して料金の値下げや高頻度の運行で対抗しています。

新幹線は高速バスと競合することがあり、高速バスは定時性と速度では新幹線より低いですが、時間や経路などの柔軟性や価格では高速バスが優れているといわれています。

高速バスの場合は夜行運転も行われているため、夜間で移動する際は車内で就寝することができ、その間を安く移動できることで利用者が多いです。

料金の安さなどで高速バスを利用する人が多く、いつから行けるか、どこから行けるかなどで、使い分けられていることが多いです。

日本から世界へ!日本が狙う新幹線の輸出計画

日本の新幹線の技術は世界でも評価され、世界で初めて時速210㎞での高速運転は、欧米各国に大きな影響を与えました。

鉄道先進国を自負していたフランスでは、新幹線の開業後に本格的に高速鉄道の開発を行い、超高速鉄道TGVの開発に成功しました。

フランスのTGVの技術は導入する国が徐々に増えていき、日本の新幹線の技術に匹敵するくらいにまでなりました。

世界各国で高速鉄道の計画が進められており、日本とヨーロッパが技術をアピールするために、各国に売り込んでいます。

新幹線の輸出は日本が力を入れていることで、日本の技術をもとに高速鉄道を展開させたいという強い思いがあります。

新幹線の輸出で有名なのは台湾で、台北~高雄間のうち台北~左営間で約340㎞で走行されています。

ドイツ・フランスとの競合の末に日本の新幹線の技術が導入され、新幹線のシステムをもとに建設され、車両は700系をベースとした700T型が走行しています。

技術や安全性が評価されただけでなく、台湾が日本に親近感を持っていることや地震に備えたシステムが構築されていることなど、様々な理由から契約が締結されました。

イギリスでは、日立製作所が高速鉄道の専用車両の受注をすすめており、2007年から製造した車両の引き渡しが行われました。

日立製作所はイギリス国内でさらなる受注を目指した、都市間高速鉄道計画における受注を積極的に行い、イースト・コースト本線などで優先交渉権を得ています。

車両の製造やリース事業を積極的に行い、イギリス国内では日立による高速鉄道の車両が多く走行されています。

中国でも高速鉄道の計画が進められ、現在では計画によってつくられた路線で営業運転が行われており、多くの人が利用しています。

中国の高速鉄道は日本の新幹線の技術が導入されていますが、同時にフランスやドイツなどの技術も導入しているため、様々な国の技術が混在しています。

中国の場合は、一部は完成車で納車が行われ、残りは現地での組み立てや技術供与による現地生産となっています。

様々な技術が混在しているため、中国の高速鉄道の技術を疑う意見もあり、2011年にはそのことがきっかけで脱線事故が発生しました。

海外への輸出戦略は、日本の新幹線とフランスのTGVが競合するかたちとなっており、導入する国はどちらかの技術で決める場合が多いです。

日本の新幹線の輸出候補地としては、アメリカやインド、タイなどの国があげられ、これらの国では計画が検討されており、日本が売り込みをしています。

アメリカではカリフォルニア州やテキサス州で導入が検討されており、高速鉄道の計画に日本の新幹線の導入が進められています。

インドでは国内に高速鉄道の路線をいくつか作る計画が検討され、ヨーロッパとの競合の末に日本の技術が導入されることが決まり、2017年に着工され、2023年に開業されることが決められました。

日本の新幹線は安全性が高いことが魅力で、世界各国でもその技術の高さはよく知られています。

この先に完成するかも?整備が計画されている新幹線

新幹線は東海道新幹線の開業を皮切りに、全国で路線がつくられるようになり、全国新幹線鉄道整備法に基づいてつくられています。

全国新幹線鉄道整備法ではいくつか基本計画路線が決められていましたが、オイルショックや国鉄の経営悪化などで着工が見送られ、平成に入ってから整備新幹線がつくられるようになりました。

整備計画が決定したものを整備新幹線と呼び、2018年現在では4つの路線で整備計画があり、着工が進められています。

新青森駅から新函館北斗駅までつくられた北海道新幹線は、今後札幌駅まで延伸する計画が進められ、2031年春に開業する予定となっています。

新函館北斗駅から札幌駅までは、当初は2019年に開業する予定でしたが、7割以上がトンネルで巨額の費用がかかることから、工期が伸ばされました。

想定された工期が延び、2012年から着工されて2035年に開業する計画で進められましたが、地元から工期短縮が求められたため、開業が2031年になりました。

着工時の報道や様々な情報によれば、札幌駅まで開業すれば、新青森~札幌間が1~2時間、東京~札幌間が4~5時間で行けると予測されています。

北陸新幹線も延伸が計画されており、すでに金沢駅までが開業していますが、今後は敦賀駅まで延伸され、新大阪駅まで延伸される計画があります。

金沢~敦賀間は2023年春ごろに開業する予定で進められていますが、金沢~福井間で前倒しで開業することが検討されています。

敦賀駅以西のルートも計画が進められ、いくつか候補が上がって様々な議論が行われてきましたが、最終的に小浜駅を経由して京都駅に向かう「小浜・京都ルート」に決まりました。

京都~新大阪間のルートも議論され、JR片町線の松井山手駅付近に中間駅を設ける「南回り案」が決められました。

九州新幹線でも計画が進められており、博多駅から長崎駅までの「長崎ルート」が計画されており、「西九州ルート」とも呼ばれています。

長崎ルートは、博多~新鳥栖間を鹿児島ルートと路線を共有し、新鳥栖~武雄温泉間は在来線を利用、武雄温泉~長崎間はフル規格の路線にする計画となっています。

フリーゲージトレインを導入して2022年に開業する予定でしたが、車両の開発が大幅に遅れることから、武雄温泉~長崎間はフル規格でそれ以外は在来線特急でつなぐリレー方式で暫定開業することになりました。

計画については今後も検討が進められ、フリーゲージトレインの実用化が進まなくなると、全線フル規格で開業することへの変更も検討されています。

東京から大阪をつなぐ路線として中央新幹線も計画されており、リニアモーターカーによる営業運転を進めていることから、リニア新幹線と呼ばれています。

東京~名古屋間の2027年の先行開業を目指しており、完成後は同区間を40分で移動できるといわれています。

中央新幹線は計画が進められていますが、建設資金や地形、名古屋以西のルートの策定など、様々な課題が浮上しています。

奥羽本線を利用する!新庄まで行ける山形新幹線

日本のミニ新幹線は東北地方で2路線あり、秋田新幹線と並んでミニ新幹線として活用されている路線として、山形新幹線があります。

山形新幹線は、ミニ新幹線形式により福島駅から山形駅を経て新庄駅まで行くことができる、奥羽本線を走行する路線です。

東北新幹線の東京~福島間で直通運転が行われているので、その区間を含めて「山形新幹線」と考えられ、山形新幹線として案内されることもあります。

1992年に、全国新幹線鉄道整備法に基づかない新在直通運転によるミニ新幹線として開業し、営業区間のほとんどが山形県内にあることから、「山形新幹線」と呼ばれています。

正式には在来線である奥羽本線の一部区間であり、踏切があったり時速130㎞を超える速度での安全設備が未整備であったりすることから、在来線とみなされています。

1981年に国体が山形県で開催されることが決まったことで、それに合わせて交通体系の整備を進めるために、山形新幹線の計画が浮上しました。

フランスの高速鉄道・TGVをヒントにミニ新幹線として計画が進められ、スキーのメッカである蔵王に新幹線を乗り入れることを目標に進められます。

奥羽本線の改良工事を進め、国鉄民営化後はJR東日本がその事業を引き継ぎ、国の補助金を受けて着工が行われ、国体開催を前に1992年7月に開業しました。

1993年からは新庄延伸が進められ、県や沿線市町村、民間企業の協力によって計画が進められ、1997年から着工され、1999年に山形~新庄間が開業しました。

列車の運行形態は、東北新幹線内では仙台駅発着の「やまびこ」と併結して走行し、朝と夜の一部列車を除いてこのかたちで運行されています。

東北新幹線内の停車駅は「やまびこ」に合わせて、東京・上野・大宮・宇都宮・郡山・福島に停車し、列車によっては通過する駅もあります。

福島駅での連結・切り離しは、上り・下りともに14番線で行われ、連結や切り離しに関しては少し手間がかかり、ダイヤ改正時には綿密な計算が求められています。

山形新幹線の線路では地域輸送のために普通列車も走行していることから、地域輸送に関しては「山形線」と呼ばれています。

山形新幹線では「つばさ」という列車が運行され、列車にはE3系が使用され、1000番台7両編成・2000番台7両編成・700番台6両編成が使用されています。

過去には400系の車両も使用されており、新型車両の導入により本数が減らされ、2010年には400系の営業運転が終了しました。

車内環境は、普通車で指定席が4両、自由席が2両、グリーン車が1両連結されており、すべて禁煙車となっているので車内での喫煙はできません。

福島駅から新庄駅までには、山形駅を経由するかたちで路線が通っており、米沢・天童・村山などの県内の主要地域を訪れることもできます。

山形新幹線の特急券に関しては、東北新幹線との乗り継ぎ料金制度があり、通しで利用しやすくなっています。

田沢湖や角館も行ける!ミニ新幹線の秋田新幹線

新幹線の中には、在来線の線路を使用したミニ新幹線というものがあり、フル規格の新幹線とは異なり、在来線として扱われることがあります。

日本を走るミニ新幹線は2路線あり、そのうちの1つに秋田新幹線があり、盛岡駅から秋田駅まで、奥羽本線と田沢湖線を走行しています。

正式には秋田新幹線は専用車両が走る区間の通称であり、盛岡駅から大曲駅までは田沢湖線、大曲駅から秋田駅までは奥羽本線となっています。

東京駅から盛岡駅までは、東北新幹線と直通運転を行っているため、広義ではこの区間も秋田新幹線と考えられます。

1997年に、全国新幹線鉄道整備法に基づかない新在直通方式のミニ新幹線として開業し、「主たる区間を時速200㎞以上で走行できる鉄道」として同法が新幹線を定義していることから、盛岡~秋田間は在来線とみなされています。

区間の過半数が秋田県内にあることから「秋田新幹線」と呼ばれ、奥羽山脈を越えるためトンネルや曲線が多く、高速運転が難しいのが特長です。

東北新幹線の開業後に、首都圏への移動手段として田沢湖線がよく利用されるようになってきたことから、速度向上を検討した結果、新幹線が整備されるようになりました。

1997年に開業する際にはイベントが開催され、秋田駅構内には機関車などが展示され、トロッコ列車や蒸気機関車が特別に運行されました。

東北新幹線との直通運転では、東北新幹線の列車と併結して運転が行われ、東京まで併結した状態で運行されるようになっています。

列車はE6系の7両編成を使用した「こまち」が運行され、田沢湖線内は単線のため普通列車との待ち合わせをすることがあります。

大曲駅では、田沢湖線と奥羽本線との接続部分の都合によりスイッチバックが行われ、大曲~秋田間は走行方向が逆になります。

大曲で全国花火競技大会が開催されるときは、大曲駅が始発・終着となる臨時列車が運行されるようになっています。

使用されている車両はE6系の7両編成で、過去にはE3系の6両編成が走行されており、開業当初はE3系が「こまち」として運行されていました。

社内の環境は、グリーン車1両と普通車が連結されており、すべて禁煙車となっているため、喫煙ルームもないことから車内での喫煙ができません。

秋田新幹線では、盛岡駅・雫石駅・田沢湖駅・角館駅・大曲駅・秋田駅と停車し、秋田の観光名所である田沢湖や角館のアクセスに便利です。

秋田新幹線各駅と東北新幹線各駅を通しで利用する場合、東北新幹線との乗り継ぎ料金制度があるので、それを生かして切符を購入することができます。

秋田新幹線の利用客は、東北新幹線の各駅から秋田へ移動する客は、東京都が多く、東北では宮城県が一番多いです。

また、秋田から各県に移動する際には、一番多いのは宮城県で、その次に東京都に行く人が多いです。

観光客が多く利用する秋田新幹線は、今後も秋田を訪れる際によく利用されることが考えられています。

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