新幹線は日本が誇る高速鉄道ですが、海外でも高速鉄道が開発され、広い範囲で運行されており、海外にもその技術を展開しています。

フランスでは高速鉄道の技術力が高く、海外の高速鉄道建設でも売り込みに力を入れており、日本に匹敵する高速鉄道大国です。

日本の新幹線にあたる高速鉄道の車両としてTGVがつくられ、フランス国鉄が国内で運営され、名称はフランス語で「高速鉄道」という意味があります。

TGVが最初に考えられたのは1960年代で、このころは日本で東海道新幹線の工事が行われた時でした。

当時は空気浮上式鉄道や磁気浮上式鉄道の研究が行われていましたが、実用性や費用の面で問題があったため、鉄道の高速化を鉄車輪と鉄軌道で実現するようにしました。

最初の計画では、ガスタービンエンジンによる電気式ガスタービン動力車が考案され、高いパフォーマンスを誇ることから、1972年に最初のTGVの車両がその方式でつくられました。

高速域からの列車を停止させるためのブレーキなどの新技術を導入し、1972年には非電化鉄道としては最速の時速318㎞を記録し、当時の日本の新幹線の最高速度を上回りました。

しかし、1973年のオイルショックにより燃料の価格が高騰したため、ガスタービンによる走行は実現性を失い、架線から電力を得る架空電車線方式で運行されることになりました。

この方式で開発が進められ1974年に車両が完成し、1976年の政府のプロジェクトによって最初のTGVの路線である、パリ~リヨン間のLGV南東線の建設が進められました。

1980年に最初の量産型営業車両が完成し、翌年にLGV南東線が開業し、パリとリヨンを飛行機よりも短い時間で移動できる交通手段として利用されました。

その後はフランス国内で新たに路線がつくられるようになり、1993年には営業最高速度が時速300㎞まで引き上げられました。

1994年からは隣国との路線がつくられるようになり、英仏海峡トンネルが開通したことにより、パリ~ロンドン間でユーロスターの運転が開始されました。

1997年にはベルギー国内で高速鉄道・HSL1が開業し、ブリュッセルからパリの間で高速運転ができるようになりました。

TGVはドイツまで乗り入れるようになり、2013年には廉価版TGV「Ouigo(ウィーゴ)」の運行が開始され、TGVは年々新しさを増しています。

TGVに関しては、高速運転が可能な専用軌道はLGVとよばれ、軌間は1,435㎜の標準軌を採用していることから、TGVは他国に直通運転ができるようになっています。

TGVは、パリなどの列車の始点・終点になる駅は在来線を乗り入れるため、既存の在来線の駅がそのままTGVの発着駅として利用されています。

フランス国内では約1,800mの路線網があり、パリを中心に放射状になっている4本の路線とその他の路線で構成されています。

TGVは隣国への路線展開だけでなく、アメリカや韓国などへの技術の輸出を進めており、特にモロッコではTGVの技術をもとにアフリカ初の高速鉄道の計画が進められています。