高速鉄道は世界各国で運行・計画されており、日本でいうところの新幹線、フランスでいうところのTGVがその代表例です。

ドイツでも高速鉄道が運行されており、ドイツ鉄道の旅客列車の中では上位クラスのインターシティよりも上の高速鉄道として、ICEが運行されています。

ICEはドイツ国内で運行されていますが、ドイツを中心にヨーロッパ各国でも走行されているため、ヨーロッパ屈指の技術を誇ります。

1991年には、ハノーファーからヴュルツブルクの間、マンハイムからシュトゥットガルトの間でNBS(高速新線)が本格開通されました。

そのときと同じく、ICEはハンブルク~ハノーファー~フランクフルト~シュトゥットガルト~ミュンヘンのICE6号線で運行が開始されました。

最高速度は時速250㎞で、全線通しの列車が1時間間隔で12往復設定され、13両編成で運行されました。

ICEは開業してから好評を得て、徐々に路線を拡大させていき、1992年にはスイスのバーゼルやチューリッヒに乗り入れ、1993年にはドイツの首都・ベルリンまで延伸、1998年にはオーストリアのウィーンまで延伸させました。

2000年にはオランダのアムステルダムまでの運行を開始し、2007年にはフランスLGV東ヨーロッパ線の開通により、既存のユーロシティを置き換えるかたちで乗り入れを行いました。

ICEの車両はバリエーションが多く、座席の間隔は広くとられており、オーディオ設備の搭載や食堂車の連結によって、居住性の高さを実現しています。

1991年の運行開始時にはICE1が導入され、ドイツ国内の主要都市を結ぶ路線で運行され、スイスやオーストリアへの乗り入れも行われました。

ICEの路線網を需要の少ない線区にも拡大するためにICE2が導入され、短編成と分割併合運転に対応しています。

ICE3は、ケルン~フランクフルト間の高速新線の急勾配に対応するため動力分散方式でつくられたもので、2000年のハノーファー万博に合わせて運行を開始しました。

ICE3は高速化に重点が置かれましたが、ICE4は最高速度をやや控えめにして、経済性に重点が置かれて開発されています。

ICEのダイヤはそれまでのインターシティの基本方針から、2時間間隔での運転、主要駅での同一ホーム接続などを受け継ぎ、さらなるスピードアップを実現させました。

通常のICEより所要時間を短縮させたものにICEスプリンターがあり、ドイツの大都市間を移動するビジネスユーザーをターゲットに、停車駅を最小限にしています。

国際列車も展開されており、スイス・オーストリア・フランス・オランダ・ベルギーの主要都市まで直通運転ができるようになり、ICEとして運行されています。

ドイツ国外への輸出を積極的に進めており、韓国や台湾ではフランスや日本と競合したことがあり、スペインや中国、ロシアでは実際にICEの技術をもとにした高速鉄道がつくられました。