ヨーロッパでは高速鉄道の路線が広範囲で展開されており、フランスやドイツなど国をまたいで列車が運行されています。

イタリアでも高速鉄道が展開されており、建設や管理はTAVという会社が行っており、イタリア国内で高速鉄道を運営することが主な事業で、在来線との接続線の建設や改良も行っています。

TAVが運営する路線の中で、ヨーロッパ発の高速新線として知られるディレッティシマが有名で、この路線をはじめイタリア国内で高速鉄道が運行されています。

ディレッティシマはTAVの最初の路線で、イタリア語で「(鉄道の)直通・直行」を意味し、TAVの主要路線として現在でも多くの人に利用されています。

ディレッティシマは「フィレンツェ・ローマ高速線」という正式名称があり、これまで両駅間を結んでいた複数の路線を統合するかたちで、高速新線として初めて建設計画が立てられました。

1970年に重要区間での着工が行われ、バリア川に架かる5,375mのバリア橋梁はヨーロッパでは一番長い陸橋で、世界でも有数の長さとなっています。

1977年に最初の区間となるローマ・テルミニ~チッタ・デッラ・ピエーヴェ間が開業し、その後は政治的な事情で工事が進まなくなりました。

その後は1985年にチッタ・デッラ・ピエーヴェ~アレッツォ間、1986年にフィレンツェ~バルダル間、1992年にアレッツォ~バルダル間が開業し、全線開通しました。

路線は「ディレッティシマ(直行)」というように、ほとんどの区間が直線的に建設されており、最急勾配が8%とゆるいもので、対向列車との衝撃なども抑えられています。

ディレッティシマなどイタリア国内の高速鉄道で走行している列車として、ペンドリーノというものがあり、車体傾斜式電車の名称でイタリア語で「振り子」という意味があります。

ディレッティシマの一部区間での開業に合わせて運行され、1983年には時速250㎞での運転を実現し、現在ではヨーロッパ各国で導入され在来線の高速化に貢献しています。

ペンドリーノの開発はイタリアの自動車メーカー・フィアット社の鉄道車両部門で、山岳地帯のある国ということもあって車体傾斜式車両の開発に力を入れていました。

ディレッティシマ以外に有名な路線としては、まずローマ・ナポリ高速線があり、1994年に建設が開始し、2005年に開業、計画区間には埋蔵遺跡が存在します。

TAVでは、ヨーロッパ各国の高速新線のネットワークと接続し、フランスのTGVやドイツのICEなどと統合した高速新線のネットワークの構築を目指しています。

隣国との路線も計画されており、TAVとTGVを接続させる路線も計画され、フランスのリヨンからトリノまでを結んでおり、途中に52㎞のトンネルも計画されています。

ミラノからスイス国境までをつなぐ路線、トリエステからスロベニア国境をつなぐ路線も計画されており、いずれもその先の国までの連絡を目的に計画されています。