新幹線というと、在来線とは別に線路を作って車両を走行させるイメージがあり、全国規模で主要路線として展開されています。

東海道・山陽新幹線や東北新幹線などは、在来線と別に線路が作られていることから、フル規格の新幹線といわれるようになっています。

日本の新幹線の中には、在来線の線路を使用するものもあり、そのようなものはミニ新幹線と呼ばれ、秋田新幹線と山形新幹線がそれにあたります。

ミニ新幹線は、フル規格の線路を新規に建設することなく、既存の在来線を改軌したうえで新幹線路線と直通運転ができるようになっています。

ミニ新幹線は鉄道高速化の手段の1つで、新幹線と在来線が直通運転できるようになることで、走行時間が在来線の一般車両より短くなります。

ミニ新幹線は全国新幹線鉄道整備法では在来線と定義され、この法律に沿ってつくられる整備新幹線とは異なります。

あくまで在来線の改軌や高速化改良という意味合いを持ち、最高速度は在来線の一般車両と同様に時速130㎞程度となっています。

フル規格による新幹線の場合、始発が午前6時以降で終着が午前0時以前となっていることが多いですが、ミニ新幹線の場合は始発が午前6時よりも前になっていることがあります。

ミニ新幹線のメリットは、建設期間が短いこと、そしてフル規格では騒音などの影響で深夜帯の運行が禁止されていますが、軌間のみ異なる在来線のため深夜帯でも運行可能です。

接続駅での乗り換えが不要で直通運転ができるため、所要時間の短縮や利用者の負担軽減を実現させることができます。

ミニ新幹線のデメリットは、建設期間は短いものの建設に関するコストがきわめて高くなることで、全線を一度に工事しなければならないために投資金額が大きくなります。

軌間を変えずに線形改良や軌道強化を行うことで、安価で交通の分断がなく高速化が実現できるようになるため、一度に大きな資金を投入することはありません。

また、ミニ新幹線区間での速度向上効果は限定的で、在来線としての規格に制限されることから、区間での時間短縮は線形改良や軌道強化の度合いに依存します。

車両に搭載する機材はフル規格にも対応させなければならないため車両コストが増加し、改軌区間用の在来線車両を用意する必要もあります。

ミニ新幹線は山形新幹線と秋田新幹線の2路線あり、山形新幹線は奥羽本線の福島~新庄間、秋田新幹線は田沢湖線と奥羽本線の盛岡~秋田間でつくられています。

使用される車両は在来線の車両限界で設計され、フル規格のものより小型で、新幹線区間では乗降口とホームの間隔があいてしまうため、折り畳み式のステップを車両のドアに備えています。

営業用車両は山形新幹線ではE3系1000番台と2000番台、秋田新幹線ではE6系が運行されており、東北新幹線と併結して直通運転も行われています。

各路線で運行されている車両は「つばさ」や「こまち」として走行され、新幹線直行特急として多くの人に利用されています。